リクルートテクノロジーズ メンバーズブログ  Bluetooth 5におけるIoTデバイス間通信の再考

Bluetooth 5におけるIoTデバイス間通信の再考

 

こんにちは、リクルートテクノロジーズ ATLでIoT関連の研究を行っている菅原です。

IoT関連の通信でよく使われているBluetooth通信のバージョンにBluetooth 5が加わりました。

このバージョンでは従来のものと比較し様々な変更がされていますが、その中でも私が一番注目している、ブロードキャスト通信容量が約8倍(最大255octets)となる点について考察していきたいと思います。

では、このブロードキャスト通信と従来のユニキャスト通信は、どちらがIoTデバイスが行うメインデータ通信に適しているのでしょうか?

比較する際には用途により観点が変わりますが、今回は、IoTデバイス制御やセンシングデータ送信といった少量データ通信の重点ポイントである、通信伝達品質と有効伝達範囲で検討してみました。

 

測定概要

通信伝達品質を比較するための測定項目は複数ありますが、今回はその中でも、“実際の利用時に有益な通信が成功した最大到達距離” を採用することにしました。

比較測定を行う基準としては、通信が成功した最大到達距離において電波干渉を引き起こす様々な要因(Bluetooth 5が使用している2.4GHz無線通信帯域での干渉要因)の大小で判断しています。

(注:干渉の要因(例:鉄筋ビル等の遮蔽物や通行人)が少ない電波環境を「良好」、多い電波環境を「悪い」としています。)

通信条件は、Bluetooth 5で追加された「ロングレンジモード(125kbps)」と「標準モード(1Mbps)」の各パターン毎に、「ユニキャスト」通信、「ブロードキャスト」通信を採用しました。

測定は以下の場所で実施しています。

●電波環境が「悪い」測定地(錦糸町)

 

●電波環境が「良好」な測定地(南千住)

 

測定機器としては、以下のRAYTAC社製 MDBT50Q(Nordic Semiconductor社製 nRF52840をSoCとして搭載したチップアンテナモデルのモジュール 技適マーク取得製品)を2台使用しました。
通信機器はPeripheral、Central の各ポイント共に、Nordic社製 SDK:s140用  Long range demo kit を使用しています。

Peripheral機器は上図の地点で固定し、Central 機器を移動させ、受信の成否の測定を行いました。

●測定機器(RAYTAC社製 MDBT50Q)

 

測定結果

測定結果は、以下のグラフの通りです。

 

 

考察

今回の測定では、以下の傾向が見受けられます。

全般的な考察としては、

・両通信条件での電波環境「良好」で、スペック通りの結果(1Mbps 300m,125kbps 600m)が測定された。

・ロングレンジモード(125kbps)(劣化率 47%)は、電波環境「悪い」の最大到達距離の劣化が標準モード(1Mbps)(劣化率 25%)より激しい。

ユニキャスト通信とブロードキャスト通信の比較考察としては、

・電波環境「良好」の場合は、最大到達距離に差はない。

・電波環境「悪い」の場合は、ブロードキャスト通信の方が最大到達距離が長い。(11%ほどUP)

 

評価

以上より、IoTデバイス制御やセンシングデータ送信等の少量データ通信を、通信伝達品質と有効伝達範囲で評価すると、以下のことがわかります。

・通信伝達品質としては、様々な環境で安定した品質が期待できる

・有効伝達範囲としては、様々な環境で安定したレベルが期待できる

よって、標準モード(1Mbps)のブロードキャスト通信の利用が有効であると思われる。

ただし、IoTデバイス制御やセンシングデータ送信等の少量データ通信をブロードキャストでセキュアに行う場合には、新たに通信プロトコルを構築する必要があるため、今後の継続課題として検討を行っていきたいと思います。

以上が、Bluetooth 5におけるIoTデバイス間通信検討のレポートとなります。