日越で切磋琢磨!オフショア開発のリアル【後編】

日越で切磋琢磨!オフショア開発のリアル【後編】

こんにちは。広報の鷲見です。

リクルートテクノロジーズ独自のオフショア開発スキーム「LaRue」。前回に引き続き、オフショア特別編として、ダナンのオフショア開発の現場で、このLaRueスキームにのっとって活躍中の日越のエンジニア対談をお送りします。

■前編はこちら

―LaRueに取り組む中で壁もあったと思いますが、自分が一番成長したな、と思うエピソードを教えてください。

曽根:
大規模サイトのエンハンスをオフショアに移管する、というプロジェクトの体制を立ち上げた時ですね。オフショア開発は日本とベトナムの単価差を利用して、コストを抑えて大人数で取り組むという手法が一般的です。今までリクルートテクノロジーズのLaRueスキームでは、コストを抑えやすい規模の大規模開発を中心にオフショア開発をしてきました。

そのため小規模な案件を同時多発的に行い、PDCAを高速に回すことで細かい改善を積み重ねていくエンハンス開発はオフショアには向かないと言われ、実際に、オフショア開発の経験もありませんでした。

自分にとって初めてのオフショア案件。かつ案件としても難易度が高く、会社として成功した実績もない。さらに自分自身、オフショアのお作法もわからない。そんな状態で放り込まれました。

「正しく伝える」ということを徹底的にやりこむ

曽根:
自分の立ち上げとベトナムメンバーの立ち上げを同時に実施しましたが、最初は、お願いしたことが伝わらなかったり、事前に定義した成果物と実際に上がってきた成果物にずれが発生したり、メンバーと認識が合わないことがよくありました。

自分自身で振り返り、原因を考えた結果、伝え方の問題だと気が付きました。つまり、日本のハイコンテクスト文化に慣れていて、自分が想像していた以上に、正しく相手に伝えるコミュニケーションをとれていませんでした。

そのため、口頭指示だけで終わらせずすべてチケット管理をするとか、お互いのイメージをすりあわせるために打ち合わせの場で簡単なサンプルを書くといった「正しく伝える」ということを徹底的にやりこみました。
普段だと日本にいても気づくことが出来ないことが多く、非常に勉強になりました。
後半1枚目

「対話」を大切に、コミュニケーションの精度を上げる

曽根:
もう一つはメンバー理解です。僕自身、初めてのマネジメント業務を行う中で、さっき話したようにコミュニケーションが上手くいかず、仕事が上手く進まない上に、チームとしてのモチベーションが低下した時期もありました。

チームのモチベーションを上げるために何をすべきなのか考えて、「対話を重視」するようにしました。会議室ではない場所でフラットに会話することが重要だと考えて、ベトナム人メンバーとカフェで話したり、飲みに行ったりしましたね。ミーティングの場では言いにくくても、一人ひとり向き合うとそれぞれの思いや考え方、将来どうなりたいか、といった希望も見えてくる。自分の思うことも率直に伝え、どうやったらうまくいくかを相談したりもしました。

一時はどうなることかと思いましたが、結果として、チームのモチベーションも回復し、メンバーとの信頼関係も構築できました。実際にビザの関係で日本に一時帰国したときに、テレビ電話越しに見えるメンバーの取り組み方が明らかに変わってきていました。例えば、以前は定時に帰ることが当たり前でしたが、自分がベトナムにいないにも関わらず品質へのこだわりから、ほとんどのチームメンバが遅くまで残って作業をする姿が見えるなど、明らかな変化に驚いたことを覚えています。

プロジェクト型開発は、プロジェクトが終われば解散ですが、エンハンス型開発は終わりがないため、継続的な関係が作れます。相互理解のベースを上げて、信頼関係を構築し、PDCAを高速に回す。結果として、高いQCDを達成することができるはずだ、日本とベトナムで一体となって開発を進めていく中で、そのような思いもあったからこそやり切れたのかな、と思っています。

―最初の案件を乗り越えたあとも、様々な案件を手掛けていると思いますが、オフショア開発をやっていて大事だと思うことはなんですか?

曽根:
基本のコミュニケーションの精度ですね。完了期日や要件をはっきりさせる。誰が、いつまでに、何をどうやって進めるのかシャープにすること。会議では口頭だけでなくて、図やパワーポイントなどドキュメントをモニタに映しながら、その場で書き込みをして目で共有することで認識ずれをつぶしています。

HungNT:その点は自分も常に心がけています。情報の伝達だけではなく、日常のコミュニケーションもとても大事だと思います。

曽根:
あと、人を見てアサインすることが、最終的にいいチームとして動けるポイントだと思います。要件定義が得意な人、進捗管理が得意な人、エンジニアリングを突き詰めたい人、マネジメントに進みたい人などいろいろいる。得意なこと、伸ばしたいことをもとにプロジェクト編成すると、モチベーションも高く保てます。

そう考えると、オフショアだからどうこうってことはあまり無いと思いますね。サービスをつくるために、いわゆるプロジェクトマネジメントのスキルを愚直に真摯に突き詰めていくことが必要だと思います。

お互いが見えるから、切磋琢磨できる

後半2枚目

―お互いの仕事ぶりの中で、尊敬しているのはどんなところですか?
曽根:
僕がHungNTさんと仕事していてすごいなと思うのは、1つのチームのメンバーとして、フィジビリの内容を踏まえて、フラットに提案してくれる姿勢がある。プロジェクトを始めるときに、ベトナム人メンバーに内容をインプットするんですけど、その手順とかはもっとこうした方が上手くいくと思う、みたいなことを、本当によくいってくれる。

HungNT:
LaRueスキームでは、日本のメンバーとベトナム人メンバーが毎日コミュニケーションをとるし、1案件ごとに丁寧に振りかえりをしています。そうやってスキームを磨きこんでいくなかで、自分も改善のドライブになれる。どんどんやり方を変えれば自分も楽になるのでいいですね(笑)

HungNT:
僕が曽根さんと仕事をしていてすごいと思うのは、ドキュメントの丁寧さですね。ミーティングの準備もすごく良いのでいつもマネさせてもらっています。あと、細かい仕様についてもものすごく詳しくて、なんでそうなるのかも含めてわかりやすく説明してもらえています。

LaRueスキームを仕事のスタンダードに

―最後になりますが、お二人にとってLaRueとは

HungNT:
これまでは1つの方法論でしたが、これからは自分の仕事のスタンダードとして活用していきたいスキームです。リクルートの案件だけでなく、他にもこのやり方で上手くいくことはたくさんあると思います。もっと有名なものになればいいと思いますね。

曽根:
僕にとっては成長の機会そのものですね。オフショアに放り込まれて、LaRueに育ててもらったと思っています。これからは、自分がこのスキームを使って何をよくしていくのか、仕掛けていくフェーズです。もっともっとLaRue自体も磨きこみながら、進化させていきたいです。
後半3枚目